巧の部屋 ながやす巧の漫画術

第6回
ながやす流 一日26時間

前回は「ながやす流」人物ペン入れの極意についてお話しました。一章480ページを超える原稿を「キャラクターごとにまとめて」一気通しでペンを入れるという方法は、おそらくながやす先生独自の方法論…
さて、コンテから下描き。そしてペン入れと「ながやす流」独自の漫画術を一通りお伝えしたところで、今回は先生の日常生活についてお話しましょう。

漫画執筆にすべてを賭ける日常生活!
…なんて言っちゃうと大げさな気もしますけど…実際にながやす先生は、日頃からほとんど外出されません。たまの遠出や外食なんかも、定期的に通われる病院の検診ついで…というほどだとか。
出不精というより一日26時間の全てが、漫画執筆を中心に組まれているのです。

あれ? 一日って24時間じゃなかったっけ。なんで2時間だけ余分なの?
というところが「ながやす流、体内時計」のミソだったりします。

先生の生活リズムは執筆の状況によっても多少違うようですが、基本的には仕事を一日3ユニットに分けています。だいたい1ユニットが4時間で、最後のユニットだけ6時間(から7時間)。つまり、最後は眠くなるまで仕事をして1日が終了、というリズムです。
つまり、執筆タイムだけで4時間×2プラス6時間でおおよそ14時間。
間に挟まる3度の食事と食後のリハビリを含めて、それぞれ2時間づつで合計6時間。
それに睡眠が平均6時間…これを全部足すと合計で一日が26時間になる計算ですね。
ちなみに、3度の食事タイム2時間は(30分もあれば十分、なんて早メシ自慢の方もいるでしょうし)ちょっと長いかと思いますが、ながやす先生の場合はこの時間を食事とリハビリに加えて、休憩を兼ねて資料用のビデオや書物をチェックしたり、DVDの編集やラべリング、資料整理タイムに充てているのです。
「このシーンは漫画に使える!」と思い立ったら、先生自らビデオ編集したり整理をしないと気が済まないところが「ながやす流」。
なので、どうしても「ながやす流の体内時計」は「一日合計26時間」になってしまい、世間様の一日24時間との間にズレが生じてしまいます。当然、起床時間や就寝時間もだんだん、後ろにズレてきたりしますね。

この生活のリズムを管理されているのは、食事の世話など生活の面倒を見ておられる奥様の役割。お陰で執筆タイムもおよそ4時間2セット+ラスト6時間1セット(各セット間に食事&リハビリタイムが挟まります)という計ったようなスタイルが、長い間定着しています。徐々に後ろへずれていく生活リズムを健康に保たれる奥様のサポートにより、まさに二人三脚のタッグで『壬生義士伝』執筆は進んでいるのです。
もっとも仕事のノリが良い時には延長もアリで、たまには16時間以上ぶっつづけで執筆されることもあるとか。最近だと23時間連続起きていて「体に悪いから寝てちょうだい!」と奥様ストップにより、強制的に寝かされたことも。

ちなみに先生の睡眠はおおよそ一日6時間とのことですが(短い日だと4時間程度)、どうしても2時間ごとに目が覚める体質のようです。もちろん長時間ぶっつづけで執筆した後は、相当に疲れがたまって長時間眠り続けることもあるけれど、やはり(一般的な睡眠平均タイムの)8時間眠りづづけるなんて数年に一度の大事件(!?)なのだとか。
ともあれ『壬生義士伝』の仕事は、孤独な長丁場。一気に描き上げる短期間のスプリント勝負…とはいきません。だからこそ日常の執筆ペースのコントロールが、何より重要になってくるわけです。
ところで、先ほどサラッと触れましたけど、先生の執筆タイムの間に挟まっている食事タイムにくっついてる食後の「リハビリ」って、何のことでしょう?
実は引き籠りになりがちな先生の健康を保つ秘訣が、この「リハビリ」なのです。
次回は、ちょっと変わった独自の「ながやす流健康法(?)」について、お話しましょう。

→次回
【ながやす流 階段健康法】に続く
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