本編の主人公。元南部藩二駄二人扶持の
足軽の身分ながら、藩校では助教、
道場では師範代を務めるほど、
文武両道に秀でていた。
生活は困窮を極め、家族を養うために
脱藩を決意、新選組に身を投じる。
入隊早々北辰一刀流免許皆伝の腕を買われ、
諸士調役兼監察という重職に取り立てられる。
南部藩大坂蔵屋敷の差配役を務める組頭。
四百石取りの家格と実力を併せ持ち、
周囲からも絶大な信頼を得ている。
主人公・吉村貫一郎は元組付の部下であると
同時に、彼の竹馬の友でもあった。
大正三年当時、東京・神田で
『角屋』という居酒屋を営む老人。
幕末には「竹中正助」を名乗り、
脱藩浪人として吉村と同期で
新選組へ入隊する。
小野一刀流目録の腕前だった。
洛中庶民から「壬生浪」の異名で
恐れられていた治安維持組織・新選組の局長。
武蔵国の農民出身ながら、
天然理心流剣術宋主四代目として名を上げる。
入隊早々、吉村貫一郎の腕を見込み、
剣術師範方に抜擢する。
新選組副長。
江戸では天然理心流剣術道場
「試衛館」道場師範を務め、
近藤と共に新選組立ち上げに参加した。
近藤同様、吉村の剣を高く評価し
大任を任せるが、同時に彼の武士らしからぬ
金銭への執着に困惑をしてもいる。
新選組副長助勤にして二番隊隊長。
松前藩脱藩浪士で、神道無念流免許皆伝。
入隊したての吉村と最初に手合わせして、
道場剣法とは違う吉村の剣技を体感する。
同じ北国出身の吉村とは親しい間柄となる。
新選組副長にして一番隊隊長。
江戸「試衛館」道場の門下で
若くして頭角を現し、
近藤や土方らとともに京へ上り
新選組創設と同時に身を投じる。
新選組副長助勤にして三番隊隊長。
沖田や永倉と並ぶ剣客でもある。
吉村とは「裏仕事」重要任務を共にするが、
反りが合わない。
別名「始末屋」。
新選組の最古参の隊士ながら、
切腹の後始末など汚れ仕事の
「裏方」を任されていた。
のち屯所を脱走し追手をかけられる。
吉村貫一郎の嫡男。
心優しく、剣の腕前は父親譲りだが、
貫一郎の脱藩によって、
その身に責を負うこととなる。
盛岡から母方の郷里である雫石へ去り、
その後の消息は不明に。
南部藩で百石取りの組頭の嫡男に生まれ、
吉村嘉一郎や大野千秋とは竹馬の友であった。
明治三年、南部藩の消滅により上京し、
艱難辛苦の後、京橋で建設業を営む
実業家に転身する。
南部藩の重鎮で、
御高知家身分たる大野次郎右衛門の嫡男。
武芸は苦手ながら、頭脳は明晰で、
父に似ず情に厚く熱血漢。
行動力にも溢れている。
吉村貫一郎の妻。
貫一郎とは幼馴染で、
彼の深い情愛を受け、妻となる。
病弱な身ながら芯が強く、
武士の妻としての矜持を堅く守っている。
上総国で名字帯刀を許された
裕福な商家に生まれ、
武者修行で江戸に出たのち、
周囲の反対を押し切って新選組に入隊し、
新入隊員として吉村貫一郎の薫陶を受ける。