壬生用語辞典

第三章 第13話
(単行本第6巻)P123〜P145

西郷征伐
西郷征伐
(さいごうせいばつ)

言うまでもなく「西郷征伐」というのは、明治10年(1877年)に鹿児島(および熊本、大分、宮崎各県)で勃発した「西南戦争(西南の役)」を指します。西郷隆盛を盟主に立てて起こされたため、このような呼び名も当時は使われたようですね。これより前にいくつか起こった不平士族による騒乱の最後にして最大のもので、これを最後に我が国ではいわゆる「内乱」は起きていません。
ここでは新選組の解体後、自身は会津へ会津へ身を投じて敗北した戊辰戦争以降の斎藤一について少しだけ触れられています(詳細な経緯は、本編8巻〜9巻『斎藤一編』で描かれています)が、付け加えるならこの西南戦争に新政府側に立って出征した斎藤一の身分は「警視庁の警部補」でした。
我が国の「陸軍」創設は明治4年(1871年)ですが、西南戦争の時点では多くの士族が大警視(現在の警視総監)率いる「新選旅団」に所属し、出征しています(新選組の生き残りも参加していますが、組織としては全く別ものです)。いわばこの時期、西郷軍と対峙した政府軍は、陸海軍と警察の混成部隊だったわけですね。
ちなみにこの旅団には、数多くの会津士族(つまり戊辰戦争当時「賊軍」にされた武士たち)も加わっています。かつての仇敵・薩摩士族と「政府軍」として戦う彼ら(そして斎藤一)の心中はいかなるものだった…のでしょうか。

→初出 第6巻p138

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