壬生用語辞典

第七章 第1話

餓鬼道
餓鬼道
(がきどう)

いわゆる仏教用語で、死後に生前の悪行によって極楽往生できず、輪廻転生で繰り返す「六道」のうちの一つがこの「餓鬼道」です。
ちなみに六道は人(じん)、修羅(しゅら)、畜生(ちくしょう)、餓鬼(がき)、地獄(じごく)を指し、まとめて六(悪)趣とも言われています。
また餓鬼道は生前に嫉妬深かったり、執着心や物惜しみ貪りの心が強かった人が堕ちる世界とも表現されています。

→初出 第七章 第1話 p06

幽明界
幽明界
(ゆうめいさかい)

「幽界(ゆうかい)」つまりは「幽霊の世界」平たく言えば「あの世」死後の世界のこと、これに対して「明界」は現世です。なので本編中、吉村貫一郎が「幼いころに幽明界を異にして以来」と語りかけたのは「幼い頃に(父上と)死別して以来…」と語りかけたという意味になりますね。

→初出 第七章 第1話 p08

士道不覚悟
士道不覚悟
(しどうふかくご)

本編『壬生義士伝』に、たびたび登場する用語ですが、簡単にいえば「武士としての覚悟が出来ていないこと」を指します。たとえば敵との斬り合いの場で逃げ出したり、いわゆる「敵に背を向けて」背中を切られたりすることがこれに当たりますね。
新選組の隊規ではこれが厳しく、この士道不覚悟と認められると処罰は「切腹」と決まっていました。また本編第8巻では、切腹の場での介錯の作法を誤った(首を打ち落とし損ねた)隊士の無作法が「士道不覚悟」と咎められ、あやうく斎藤一に成敗されそうになる、という一幕もありました。

→初出 第七章 第1話 p17

会津肥後守様
会津肥後守様
(あいづひごのかみさま)

新選組の後見役でもあった主君、松平容保公(まつだいらかたもりこう)のことです。ちなみに大名の場合、領地の国名と官職が異なることは結構多いので、彼も会津藩主ながら「肥後守」と名乗っていました。また、吉村貫一郎の独り言でも語られていたようにこの時期、彼は孝明天皇から「京都守護職」にも任じられておりました。

→初出 第七章 第1話 p19

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